路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

路線バスの故障や不具合。対処方法や経験談を紹介。

路線バスの運転士に転職して未だに思うのが「バスは故障が多い」と言うことですね。まぁ、故障と言っても走行に支障はない注意ランプが点灯するレベルから、完全に動かないものまで様々なのですが…

さて、通りすがりの方からバスファンの方まで、多くの方にご覧いただいているこのサイトですが、現役運転士の方も結構ご覧になっているので、今回は路線バスの車両不具合について、運転士目線で書いていこうと思います。

エア系統の不具合

路線バスに限らず、観光バスや大型トラックなどでは「エア」と呼ばれる圧縮空気を使用しています。圧縮空気が利用されるのは主にブレーキ系統ですが、他にもクラッチやドアの開閉などにもエアが用いられています。

そのため、運転席のパネルには空気圧を示すメーターがあるのですが、朝の始業点検で空気圧の警告灯が点灯することもしばしば。

夜間駐車中はエンジン停止ですから、例えば、ドアの開閉を司るシリンダーから少しずつ空気が漏れ、朝、始業点検でバスに乗ろうと車外のスイッチを開にしても、ドアが開かず「エア漏れかぁ」とため息をつきながらドアを手で押し開けることも・・・

さて、エンジンが始動すればコンプレッサーも始動して充填を行いますが、注意しなければいけないのはエアが充填されない(メーカーが上がってこない)ときです。

実はエアがたまらない状態を放置すると、最悪「パーキングブレーキが解除できない」「クラッチが抜けない」と言う事態に発展しますから、朝の点検で「エアが充填されるか」と言う部分をチェックしておかなければいけません。

【関連記事】バスやトラックが停車したときの「プシュー」と言う空気音は何?

頻度が多い「チェックエンジン」

「チェックエンジン」とか「エンジンチェックランプ」などと言われるオレンジ色の警告灯です。

経験上、バスに関して言えば、排気ガスを浄化する「DPD(いすゞ)」「DPR(日野)」「DPF(ふそう)」の不具合が多いようですが、それ以外にもエンジン系統で異常値を検知すると点灯する仕組みになっていますので、点灯したら整備でチェックしてもらう必要があります。

始業点検時に点灯していればその段階で交換となりますが、一番多いのが走行中です。

「ふと、メーターを見たら警告灯が!?」

新人の頃はさすがに焦りましたが、今は「やれやれ・・・」と余裕の表情。まぁ、経験って奴ですね。

実際には「点灯=即運行中止」と言うことではなく、点呼場に連絡をして終点で車両交換するのが大半です。もちろん、車両交換の段取りがありますから、バス停で停車させ、お客様にご案内した後、無線や携帯電話で連絡します。

余談ですが、お客様に案内をしないと「なんで出発しないの?」「運転士が携帯使っている!(停車していますが)」と無用な苦情を誘発することがありますので、そう言った部分のケアも必要ですね。

両替機の故障

路線バスならではかもしれませんが、両替機(運賃箱)の不具合も多いです。

例えば、500円玉を両替機に入れたのにそのまま排出される(両替されない)と言うケース。

センサーエラーや両替金不足によって両替できないケースもあれば、旧式の500円玉に対応していない場合もあるので、状況は様々です。

さて、このような場合ですが、未精算に関する書類を発行して営業所や案内所で払ってもらう事業者、予備の釣り銭を運転士に持たせている事業者、「次、乗ったときに一緒に払ってください」と、その場は未払いで対応し、お客様にその後を委ねる(信用乗車)事業者など、対応は様々です。

ちなみに私の場合は信用乗車方式です。(こればかりは、どうしようもないですからね)

中には、「他の乗客が支払うお金を手で受け取り、それを両替金にすれば…」と思われる方もいるかもしれませんが、運転士が手で運賃を受け取ると「着服してる!?」と他の乗客から誤解を招くケースもありますから手収受は多くの事業者が禁止しています。

正直、故障したから運行不能に陥るレベルではないのですが、接客や案内も絡んできますので、整理券発券機の故障や紙詰まりも含めて面倒なケースです。

オーバーヒートじゃないのに「水温異常」

経験上、一番「やめてくれ~」と悲鳴を上げたのがこのケースです。

ある日の昼下がり、のほほ~んと運転中、けたたましい警告温とともに水温警告灯が突如点灯。こればかりは心臓に悪いです。

水温警告灯とは要するにオーバーヒートのことで「水温が上がりすぎている」と言うものです。

しかし、肝心の水温計は正常値・・・

さすがに途中で車両交換となったのですが、あとで聞いたら水温センサーの異常だったことが発覚。

実際、高速バスがオーバーヒートして配管が破裂し乗客がやけどを負った東海北陸自動車道の事故(2016.4.22)も過去にはありましたから、大事に至らなくてよかったのですが、やはり、年式が古い車両になればなるほど、こういったケースに遭遇します。

ドアが閉まらない!

「ドアを閉めます」とスイッチを閉じるにして「プ~~♪」と鳴ったものの、ドアが閉まらない。

「あれっ??」

このとき、まず確認するのが、ドアセンサーに人や荷物が掛かっていると点灯する天井部に設置された「警告灯」です。

点灯していれば「すみません。一歩内側にお下がりください」とアナウンスをすればいいですし、ドア付近に乗客がおらず点灯しているときは、センサーに雨水や雪が付着して誤作動している場合がほとんどですので除去すれば問題ありません。

ただ、この警告灯が消灯しているのにドアが閉まらないは焦りましたね。

「えっ!? 何で閉まらないの? ランプは消灯しているのに・・・」

とりあえず、「ドアに不具合が生じています。しばらくお待ちください」とアナウンスをして10秒ほどフリーズ。

そして「そういえば、さっき車いすの対応をしたよな。もしかしたら…」とあることに気がつきました。

それは『車いすのスロープ』です。

バスのスロープは車種によって「床をパタンと反転させるタイプ」「床下からスロープを引き出すタイプ」「スロープを収納箱から持ってきて掛けるタイプ」に分けることができますが、スロープを掛けたまま出発すると事故につながりますので、どのタイプもスロープが収納されていないとドアが閉まらないようになっています。

私がこのとき乗務していたのがスロープを収納箱から持ってきて掛けるタイプだったので、すぐに収納箱に行き、「スイッチよ! 反応しろ!」と心で念じつつ、スロープを押すこと引くこと数秒。

結果、再びドアスイッチを閉にしたら、無事に閉まりました。

当時、その話を先輩に話したら「あぁ、あの車両ね。収納箱のスイッチが鈍いから、勢い付けてしまわないとダメだよ」と、笑われましたが…

休憩室では情報収集

と、車両トラブルの一端を紹介しましたが「イレギュラーなときに冷静な対応ができるか」と言うのも運転士の大切な資質だと思います。

同時に、「今朝、このバス停で…」「あの車両が…」など、運転士ならではの話題が飛び交う休憩室では雑談に混じりながら情報を蓄積することも大切です。

そうすると、イザというときにも冷静に対応できますからね。

新人を指導する副班長と言うポジションになりしばらく経ちますが、そう言ったイレギュラーなことも指導しつつ、今日も「ハプニングにハラハラしながら(笑)」乗務しています。

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