路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

バスやトラックが停車したときの「プシュー」と言う空気音は何?

今日はバスやトラックなど大型車特有のブレーキについて紹介しましょう。

よく、大型車が交差点や駐車場に停車すると「プシュー」とか「バンッ」と言う感じで空気が一気に放出されたような音を聞いたことありませんか?

私自身もマイカーを運転しているときに隣のトラックから「バンッ」と空気砲のような衝撃音を聞いてビクッとなったことがあるんですが、あの音は一体何か解説していこうと思います。

正体はパーキングブレーキの音

いきなり答えになりますが、あの空気音は「パーキングブレーキ」を作動させた時の音です。

マイカーなどのパーキングブレーキはサイドブレーキを引いたときの力がそのままワイヤーを経由してタイヤのブレーキを作動させます。自転車のワイヤーブレーキと同じような感じですね。

そのため、大型車を運転しない人からすれば「えっ、パーキングブレーキなの?」と、驚かれることでしょう。

ワイヤー式パーキングブレーキの弱点

実は路線バスも旧型車や小型車を中心にこのワイヤー式のパーキングブレーキが採用されているのですが、ワイヤー式の弱点は「引きが甘いことによる流転」です。

以前、『人志松本のすべらない話(フジテレビ)』で、「ダウンタウンらが女芸人の引越しを手伝っている時、サイドブレーキの引きが甘く、作業中に車が下り坂をコロコロ転がって行ったのですが、松っちゃんがサイドブレーキの操作(場所?)がわからず塀に衝突した!」なんてエピソードがありましたが、ワイヤー式の弱点はまさにそれですね。

このような背景もあってバス・トラックなど事業用の車を扱う会社では「歯止め」の使用が励行されています。もっとも、「安全意識を周囲にアピールする」側面もゼロではありませんが…

いずれにしても、従来のようなワイヤー式だと運転士がサイドブレーキを引く力にブレーキ力が左右されてしまうので危険な部分があると言えます。そのような事情もあり最近はエアーブレーキに使用する圧縮空気を用いた「ホイールパーク式(エアブレーキ)」と呼ばれるパーキングブレーキが多くの車両で採用されています。

なぜ、ブレーキをかけるのに空気の排出音がするの?

ここで多くの方は「なぜ、パーキングブレーキを掛けるのに空気が放出される音がするの?」と言う疑問を感じると思います。

一般的なエアブレーキはブレーキペダルを踏むと圧縮空気がドラムに送られブレーキを作動させます。逆に、発車するときにブレーキを緩めると「シューーー」と空気が排出される音がしますから謎ですよね。

その理由は、パーキングブレーキを作動させるときは空気を抜いているからなのです。

大型トラックやバスで使用するホイールパーク式エアブレーキの仕組み

上図のように大型車のパーキングブレーキは強力なスプリングによって”常に”ブレーキが掛かった状態になっています。そのため、車を動かすときは圧縮空気をスプリングに送り込みブレーキを解放しているのです。

つまり、パーキングブレーキを作動させるときにスプリングを押していた圧縮空気が解放される音があの「プシュー」とか「バンッ」と言う音なのです。

ホイールパーク式エアブレーキの操作
(出典:Wikipedia)

こちらは路線バスの多くで採用されているパーキングブレーキの操作部分です。レバーを下に降ろすとエアが抜けパーキングブレーキが作動します。同時にカチッとレバーがロックされます。

ワイヤーを用いるサイドブレーキとは異なりレバーはONかOFFのどちらか一方にしか固定できませんので、引きが甘いと言うことはありません。

メリット・デメリット

この方法によるメリットはスプリングによってパーキングブレーキの力は一定なので、サイドブレーキの引きが甘いことによる流転を避けれることが挙げられます。

また、エア漏れが生じても「ブレーキが効かない!」と言う事態は避けられます。

デメリットはその逆でエアが漏れているときはブレーキが解除できない点です。また、エアが無いとドアやシフトの動作にも影響しますので始業点検でのエアチェック(残圧確認)は重要です。

実際、始業点検でエンジンを始動してもエアが溜まらず車両交換と言うこともあります。

と、今回は素朴な疑問について解説してみましたが、わかりやすくまとめただけですので細かなツッコミはご容赦くださいね。

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