26Nov
みなさんが路線バスに乗ったとき、どこの席に座りますか?
私の場合、運転士になる前までは助手席側に座ることも多々あったのですが、運転士になってからは中扉より後ろの席に座ることが多くなりました。
と言うのも、助手席側に座られることに抵抗を感じる運転士が多いんですよね。
抵抗を感じる理由はやはり「見られている」という意識です。仕事柄、見られることは当然なのですが、本音で言うと「なんで、空いているのにわざわざ前に座るの??」と言う感じです。
最近は「前面の展望映像」を収めようとカメラを構える”ファンの方”もいるのですが「自分も声も録音されているのかぁ」と思うと、運転に余計な気も使ってしまいます。
まぁ、「運転中にポケモンGOをやっていた!」「スマホの動画をみながら運転していた!」と言う論外な運転士もこの世の中にはいますので「見られている」と言う意識を持たせる必要もあるのですが・・・
そう言えば、とある先輩運転士は「交差点を左折する再、目視で確認しようと左側を見たら乗客と目が合って気まずい雰囲気に・・・」なんてこともあったそうですよ(笑)
さて、ある日の昼下がり。
始発停にバスを着けると乗客が2~3名ほど乗ってきます。少ない乗客にリラックスモードだったのですが、次の瞬間、高齢の男性が助手席側に座ります。
「えー、そこに座るのーー(心の声)」
もちろん、座る席は自由なのですが、助手席側は座席位置も高いので乗降時にバランスを崩して転倒する危険もあるので高齢者は避けて欲しいのが正直なところです。
それ以上に「閑散とした車内」「のんびりとしたお昼時」「高齢者」と言う条件が重なると、運転中に話し掛けられる危険があるんですよね。
実は、路線バスの運転士は運転中の会話は法令によって禁止されています。逆に、乗客からみだりに話し掛けることも禁止されています。
〇旅客自動車運送事業運輸規則第53条(旅客の禁止行為)
「走行中みだりに運転者に話しかけること」
〇旅客自動車運送事業運輸規則第49条(乗務員は次に掲げる行為をしてはならない)
「旅客の現在する自動車の走行中職務を遂行するために必要な事項以外の事項について話をすること」
そうは決まっていても、私の乗務する路線の多くは郊外と言う地域性も重なりますので、話し掛けられることが多いですね。
決まりですので無視する運転士もいるのですが、それがきっかけで「なんで、無視するんや!」と無用なトラブルになってもいけませんし、トラブルに至らなくてもクレーマー化されても困りますので、私の場合は営業時代の経験を生かして「最低限の返答をしてやり過ごす」スタンスを取っています。
なんとも難しい部分なのですが、会話についてはこのような決まりがある背景もありますし、運転士も会話に加わってしまい「車内放送を送り忘れた」と言うトホホなミスもありますのでご理解いただければ幸いです。
ただ、中には雑談はなく遅延について念仏のように文句を言ってくる乗客もいます。このような場合は一言だけお詫びしてそのあとは無視ですね。