路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第20弾」最速記録は”早着”のおかげ!?

今日は先日(2015年6月20日)に放送された『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第20弾』について書いてみようと思います。ちなみにネタバレも含みますので、まだ番組を見ていない方はご注意を…


↑ローカル路線バス乗り継ぎの旅 四国ぐるり一周編(楽天市場)

さて、業界人でなくても路線バスや旅に興味のある方ならこの番組はご存知ですよね。

「路線バスを乗り継いで3泊4日で目的地を目指す」と言う単純なルールなのですが、「携帯やスマホで情報を調べてはいけない」と言うルールがあるため、「路線がつながるか?」「ゴールできるのか?」と言うハラハラ感が私たちを楽しませてくれます。

それに、ネットがなく時刻表や地図をペラペラめくって旅行計画を立てていた懐かしい時代を彷彿とさせてくれるのもこの番組の醍醐味と言えます。

余談ですが、毎回、放送時期が近づくと「バス停に太川さんと蛭子さんがいたらどうしよう?」なんて思うこともあります(笑)

舞台は約7年ぶりに北海道でしたが…

気になる今回の行程ですが、出発地は2008年にサミットが開催された北海道の「洞爺湖(とうやこ)」です。ここから知床半島の最東端「羅臼町(らうすちょう)」を目指します。

ちなみに北海道は2008年に放送された第3弾で函館~宗谷岬として設定されたことがありますので、約7年ぶり2度目の北海道と言うことになります。

ただ、北海道と知ったとき、正直「ちょっと面白味に欠けるかな」と言うことが頭の中を過りましたね。

と言うのも、路線バスと聞くと「都バス」や「コミュニティーバス」のように近距離のバスをイメージされると思うのですが、北海道はJR線(旧国鉄線)の廃止が相次いだこともあり、意外に中長距離のバス路線が充実(本数は少ないが…)しているのです。つまり、路線バスとは言っても高速バスのようなトップドアの車両が走っていることもあるわけです。

また、都道府県をまたがないので路線網がズタズタと言うこともあまり考えられないことに加え、今回導入された「チェックポイント制」によってスタッフが想定したコースも見えてしまい、高速バスのイメージに加え、「距離は長いが、行き先選定はしやすかったのでは?」と冒頭に思ったのが正直なところです。

ちなみに、チェックポイント制とは今回だけの追加ルールのことで、「地球岬(ちきゅうみさき)・襟裳岬(えりもみさき)・納沙布岬(のさっぷみさき)で、記念撮影をしてゴールを目指す」と言うルールです。長距離コースになるので乗るバスの選択を間違えれば「即ゲームオーバー」の危険があることは理解できるのですが、ちょっとコースが予想できたのは残念です。

最速記録の背景に「クローズドドアシステム」が!?

肝心の結果ですが、なんと今回は史上最速となる午前11時10分にゴールしてしまいました。

ハラハラ感を期待した私にとっては少し残念な結果でしたが、実は、最速でゴールしてしまったのには「クローズドドアシステム」と呼ばれる、途中のバス停を「乗車専用」「降車専用」にしてしまう運行システムが大きく関係していたのです。

クローズドドアシステムとは、例えば大阪発→東京行の高速バスに乗車した場合、出発後すぐのバス停(新大阪・京橋など)は「乗車専用」、終点近くのバス停(品川・新宿など)は「降車専用」となっていることが一般的です。

こうすることによって、大阪→京橋、品川→東京などと言った近距離利用客を制限でき、本来利用すべき乗客の座席を確保することが可能になります。また、大阪や東京を走る路線バスの営業妨害(路線の競合)を防ぐ側面も持ち合わせています。

今回、3日目の釧路から根室に移動するバスでクローズドドアシステムによる”ミラクル”が発生します。

釧路の窓口を尋ねた際、「根室は16:13分着です」と案内を受けたメンバー。しかし、根室についたのは予定時刻前の16時頃となったので、時刻表上では乗ることのできない「根室16:10発、納沙布岬行き」に乗れてしまったのです。もし、乗れなければ後続の18:00発までバスはありませんでした。

ローカル路線バス乗り継ぎの旅、根室の時刻表

この「バスが早く着いて乗り換えができてしまった!」と言う誤算によって、行程が繰り上がり史上最速のゴールが可能になったと思います。(多分、コースを設定したスタッフも想定外だったのでは…)

ちなみに路線バスは早発禁止が法によって定められているのですが、これは乗車ができるバス停に限った話なので、根室周辺が降車専用に設定されていたこのバス(特急「ねむろ号」)は、根室より前の降車専用のバス停を早めに出発できたのでしょうね。

特急バスの醍醐味が味わえた特殊な回だった…

今回は「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」と言うより「特急バス乗り継ぎの旅」のようなイメージになってしまったのですが、それでもクローズドドアシステムなど路線バスならではの事情で展開が大きく変わったのはなんとも面白い限りですね。

もっとも、クローズドドアシステムに気が付いたのは路線バス運転士と言う視点で観ていたからだと思いますが、番組最長記録となる移動距離1,120km(東京-博多が約1,100km)を延々バスで乗り継ぐ旅と言うのも単純なようでスゴイ話です。

普段バスを運転していると「どこか、バスに乗って旅行したい」と言う欲求は無くなってしまうのですが、それでも一度はこのような旅をしてみたいものです。

さて、次回は九州か沖縄かな??

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