6Jun
バスにしても鉄道にしても人が操作している乗り物だけに”ミス”が付き物です。そして、何かミスが発生すると本人は多少なりともダメージを受けるのですが、それに反してこの手の話は運転士の休憩室ではネタにされ盛り上がりをみせます。
(不謹慎ながら”他人の不幸は蜜の味”という感じでしょうか…)
ただ、うちの営業所は某鉄道会社で話題となった”日勤教育”のように、乗務とは全く関係のない仕事や作業を永遠とさせ、本人に精神的リンチを加えるというようなことはなく、本人もミスをした理由や背景を雑談交じりに他の運転士に話せる社風なので、細かなミスや乗客からのクレームも隠すことなく点呼場に報告できる良い環境であると思っています。
もちろん、内容によっては運転士のペナルティはゼロでありませんし、点呼場ではミスをした原因や解決策を施すなど事業者としての責任は果たしていますのでご安心を…
(正直、対応は社風の問題なので事業者によって色々だと思います)
さて、そんなミスで一番多いのが「バス停誤通過」ですね。
例えば、「バス停にいる人に気が付かず通過した」「降車ボタンが押されているのに通過した」と言うものです。ただ、バス停にいる人に気が付かずに通過したケースのほとんどは、「バス停から数メートル以上も離れたお店の軒下で雨宿りしていた」など運転士の注意不足を指摘するには微妙な案件がほとんどです。
運転士としては「そこまで広範囲に注意しなければいけないの?」と思うのですが、逆に、炎天下の中、屋根もないバス停で長時間も待つのは熱中症の危険が伴いますし、国道ともなると風・排気ガス・水はねの影響もあります。それに、バスも定刻で来るとは限りませんので、社内では、「バス停○メートル以内を確認範囲とする」という内部ルールがあるものの、個人的には「持ちつ持たれつ」と言う感じで運転しています。
ちなみに、運転士の中では「電柱の陰に人が待っていることがある…」「電話ボックス内で雨宿りしている人がいる…」など情報を共有しています。
(電話ボックスはさすがに勘弁してほしいですね)
一方、降車ボタンが押されているのに通過したケースは漫然運転がほとんどです。実際、私も押されているのに気が付かずオーバーランしたことはあります。現在はバス停接近時に指差し確認(バス停・時計・降車ボタン)を行って防止しているのですが、漫然運転を防ぐというのは永遠の課題のように感じます。
このような話は事件が起こるたびに休憩室で話題となり、「なんだ、みんなも通過したことあるんだ」とホッとさせられる反面、「自分も注意しよう」と注意喚起させられます。
もし、降車時の誤通過を物理的に防ぐなら、普通電車のようにバス停ごとの停車を義務付けるか、GPSと降車ボタンが連動してバス停に接近したら停車を促すシステムなんかが効果的なんでしょうが、このようなシステムに頼るには、まず運転士の意識が高いことが前提であるのは間違いないでしょう。