11Dec
『10日USJの開園待ちで待機していた
観光バスのエンジンルームから出火』
乗客と乗員は避難して無事でしたが、
なんともドキッとするニュースです。
幸い、停車中でしたから迅速に
避難できたと思いますが、
「もし、走行中だったら?」
と考えるとなんとも怖い話です。
さて、このニュースを受けてネットでは
「整備に問題があるのでは?」
「走行中じゃないのが不幸中の幸い」
「古い車両だからだよ」
など、様々な反応が見られますが、
バスの整備は一体どのように
行われているのか疑問に感じる方も
多いのではないでしょうか?
そこで
今日は『バスの整備事情』について
解説していきましょう。
まず、基本となる三つの点検です。
■日常点検
毎日運行開始前に運転士が行なう点検です。
・ハンマーでボルトの緩みを確認
・エンジンオイルの量を確認
・方向指示器やヘッドライトの確認
・ブレーキのチェック
など法令で定められている項目の他、
方向幕や整理券発券機など
路線バス特有の設備を
夜も明けきらないうちから
懐中電灯を片手に確認していきます。
(正直、この時期は寒いです…)
■3ヶ月点検
この点検ではバスを整備工場に入庫させ、
ブレーキパッドの摩耗状態や
エンジンプラグの状態などを
整備士さんが確認します。
ちなみに、マイカーの定期点検は1年ごと、
8トン未満のトラックは6ヶ月毎です。
■車検
みなさんがパッと思いつくのが
この「車検」ですね。
(2年ごとに大きな出費が…)
毎回そんなことを思ってしまう私ですが、
マイカーは2年ごとの車検で済みますが、
バスは新車であっても1年ごとの車検を
行なわなければいけません。
つまり、運転士のよる点検は毎日。
整備工場での点検は3ヶ月ごと。
と言うわけです。
このようにバスの整備や点検は
自動車の中でも厳しくなっているのですが
予期せぬトラブルは発生します。
例えば、バスに限らずどんな車でも
ヘッドライトの球切れは
走行中に突然発生しますよね。
このように、いくら点検や整備をしても
何らかの異常は突然襲ってくるわけです。
今回、車両火災事故を起こしたのは
静岡県浜松市に本社を置く遠鉄バスですから
点検整備がずさんだった可能性は低いと
個人的には推測しています。
しかし、
何か重大事故があったときに
行政が監査に入ったら
「法定点検がされていないことが発覚した」
なんてニュースを耳にすることもあります。
まじめに点検整備を行っている事業者もあれば
ずさんな管理体制の事業者があるのも
業界の実態です。
このメルマガを読んでいる方の中には
同業の方も多いと思います。
「管理体制が適切に行われているのか?」
最後にそのチェック方法の一例を
紹介しましょう。
・車検証
・3ヶ月点検(点検整備記録簿)過去1年分
この2つの原本(コピーではダメ)が
バスにちゃんと置かれていますか?
ちゃんとバスに据え置かれていれば
管理体制がしっかりしている事業者です。
逆に、バスにある車検証がコピーだったり、
過去1年分の3ヶ月点検の記録簿がない場合は
法令違反になりますので「管理体制要注意」
と考えることができます。
「組織は頭から腐る」
なんてことが言われますが、
管理する人がいい加減だと
その影響は運転士にも及び
最終的には軽井沢や関越道のような
悲惨な事故を誘発すると思っています。
点検というと地味な印象がありますが、
その作業こそが安全の要ですので
冷え込みが厳しくなってきましたが、
明日も早朝からしっかり点検を
していこうと思います。