31Jan
朝、点呼場で準備をしていると、
先輩のSさんが点呼場に駆け込んで来て
「ドアが開かないんだけど…」
と、不安そうな顔で助役に話しかけます。
「スイッチの接触が悪いのかな?」
助役もいきなりの話で
状況が飲み込めていなかったのですが、
「とりあえず、見に行こうか!」
と、車両に向かいます。
ちなみに、この手のハプニングがあると、
野次馬のように他の運転士も集まって
来るのですが、今回も知らないうちに
数名の運転士が車両に集結!!
私もその中の一人でしたが (–;)
さて、ドアが開かないと言うことなので
運転席にあるドアスイッチが反応しない
のかと思っていたのですが、
「車外にあるドアスイッチを操作しても
ドアが開かず車内に入れない。」
と言うものでした。
確かに、車外にあるスイッチを
カチカチ操作してもドアは開きません。
「エアー漏れじゃないの?」
皆、口をそろえて言います。
ドアの開閉にはエアタンクの圧縮空気を
使用しているのですが、
夜間、エアタンクの空気が無くなると
ドアに動力が伝わらず開かないことが
よくあるので、このような症状のときは
エア漏れをまず疑います。
もっとも、エアが漏れているときは
ドアに圧はかかっていませんので
手で簡単に開けることができます。
(ちょっと重いですが…)
そして、エンジンを始動してエアをためれば
正常に動作するのですが…
固くてドアは開きません。
「あれっ? 開かないねぇ。」
「外のスイッチが壊れた?」
「寒さでドアが凍った?」
「いや、それはないでしょ!」
まさかの展開にみんな苦笑です。
「もしかして、中のスイッチじゃない?」
しばらくして、
主任が運転席のドアスイッチを疑います。
そして、運転席の横に回り込み
ドアスイッチを見ると「閉」の位置に…
「なんで???」
一同、驚くとともに呆れ顔です。
一応、ドアの仕組みを簡単に説明すると、
バスから離れるときは
運転席のスイッチを「開」にして
ドアを開けてバスから降ります。
そして、降りたあと車外にある
スイッチを「閉」にすることによって
ドアが閉まります。
つまり、夜間は…
【車内のスイッチ=開】
【車外のスイッチ=閉】
これが定位置です。
一方、乗り込むときは車外のスイッチを
「開」にしてドアを開けます。
これ以降、運行中のドア開閉は
運転席のスイッチで行います。
そのため、運行中のスイッチは
【車内のスイッチ=開または閉】
【車外のスイッチ=開】
これが基本の位置となります。
さて、話を朝に戻し、
ドアスイッチはどうなっていたかと言うと
【車内のスイッチ=閉】
【車外のスイッチ=開】
となっていたわけですね。
つまり、「ドアを閉めて運行中」
と同じ状態で車庫にあったわけです。
結局…
非常コックでドアを開ける
↓
車内スイッチを「開」に戻す
↓
非常コックを元に戻す
と余計な手間がかかったわけですが
「なんで、こんな閉め方した?」
と言う疑問を一同が浮かべます。
結局、その疑問の答えを知り得ぬまま
私は出庫してしまったのですが、
謎が多い事件でした。
まぁ、こんなことはレアケースなので
Sさんもわからなかったのでしょうね。
…にしても人騒がせな事件です。