路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

バスが線路を走るDMVの実用化断念は路線廃止への布石?

Uターンラッシュが始まるお盆休み終盤ですがいかがお過ごしですか?

ちなみに今年はお盆休みと公休が重なっている日もあるのですが、どこに行っても混雑していると思うので、地元のスーパーに買い物に行く程度で遠出はしていません。それに猛暑ですしね。

さて、そんなお盆ですが、JR北海道で開発が進んでいたDMV(線路と道路の両方を走行できるバスのこと)の実用化断念が大きく報道されましたね。

バスが線路を走るDMVの実用化断念は路線廃止への布石
(photo by:Railstation.net

頻発する事故への対策や北海道新幹線開業に備えた準備に人とお金が割かれることがその理由とされていますが、個人的には「それらの理由は口実で、もともと無理があった計画なのでは?」と否定的な印象を持っています。

確かに、過疎地の集落をバスが回り乗客を集めてそのまま線路を走り都市部に輸送できれば効率がいいのかもしれませんが、そもそも定時運行が難しいバスが、そのまま鉄道線に乗り入れるにはリスクが大きいですよね。

もし仮に遅れを想定した余裕ダイヤにすると、「だったら接続時間に余裕を持たせて駅で乗り換えてもらえばいいじゃん」との意見がでるでしょう。

それに、大型二種免許を持った「路線バス運転士」と、列車を運転する免許を持った「列車運転士」の二人が必要になりますから、人件費削減にはなりませんし、ダイヤが乱れた場合の運用など課題は多いように感じます。

あとは路線バスの長所である路線改編です。近隣で公共施設や商業施設がオープン(閉店)すると路線バスは路線を再編することが多いのですが、路線バスだけならダイヤ変更や運賃改定も比較的容易にできます。しかし、鉄道線にまで乗り入れるとなるとダイヤや運賃改定は駅設備にも大きな影響を与えますから簡単にはいかないでしょう。

一方、ミリ単位の線路を走ることや、信号や踏切などの安全対策、さらにはプラットホームの高さなど技術面でも課題は多いようです。

となると、現在の日本では「コストを掛けてリスクを背負うより、列車の乗り継ぎを考慮し路線バス網を充実させればいいのでは?」「廃線が取り沙汰されるなら、廃線にして路線バス専用道(BRT)に整備すればいいのでは?」となり、DMVの意義が否定されてしまうわけです。

ちなみに海外では過去に英国とドイツで研究されていたそうですが、こちらも断念した経緯があるそうです。

実際、津波で被災したJR気仙沼線がバス専用道に整備されてBRT(バス・ラピッド・トランジット)として再出発している例もありますから、赤字経営が続くなら「線路に固執しない」意見も強くなることは想像できます。

BRTに整備された気仙沼線
(photo by:Webka.Jp

確かに、周辺の公共施設や商業施設を路線バスが巡回してそのまま専用道に乗り入れるBRTのほうがコストにせよ運用面にせよDMVより現実的なように感じます。

個人的には過疎地と言えども線路が通る意義は経済的にも意識的にも大きいと思いますので、鉄道として維持してもらいたいのが本音ですが、様々な課題や採算性も考えるとDMVと言うスタイルで運行するにはちょっと無理があるような気がします。

今回のDMV実用化断念は線路をそのまま残して有効活用していく未来が失われたとも考えることができます。これによって赤字鉄道路線の廃止(バス代替やBRTへの転化)が加速するかもしれないですね。

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