16Oct
『腹痛とは、腹部に感じる痛みであり多くは下痢の前兆とされる現象。そしてバス運転士最大の敵である。』
と、格言っぽく冗談のように書いていますが、襲われていたときは冗談どころではないのは言うまでもありません。
それはお昼からの乗務でのことです。
この日は大好きなカレーライスを食べてからの出勤です。
点検を終え、いつもと同じように回送して始発地点に向かいます。そして、1本目の乗務がはじまった頃はまさに”快腸”だったのですが、終点に到着するとだんだん雲行きが怪しくなります。
終点での折り返し時間は約10分。
「あれ、なんか調子が悪くなりそうな…」
終点に到着したときに違和感は感じたものの、次の乗務を終えると30分程度の休憩があったので「調子が悪ければこのタイミングでトイレに行こう」と軽い気持ちで考えていました。
今思えばそれが軽率な判断だったと悔やまれます。
そして、終点まで約50分の乗務が始まったのですが、こういう時の後悔って結構早い段階で表れるものですね。
運転を開始して10分と経たずに「やばいかも(汗)」と言う心境になります。
しかし、バスは既に出発しています。
一応、最悪の事態を想定してトイレのあるところ(公園のトイレや公共施設など)を振り返ってみたのですが、思い当るバス停まで20分もかかります。
頭の中では「ここならバスポケットがあるし、余裕時間があるから…」とか、「それならがんばって終点まで行ったほうが…」などと色々な方程式が駆け巡ります。
そんな中、2年くらい前に買ってカバンの中にしまっておいた下痢止め「ストッパ」の存在を思い出しました。
「そうだ! 下痢止めあったじゃん!」
まさに”救世主”の登場です。
さっそく、バス停で時間調整をする間にパッと飲もうとカバンに手を入れたのですが…
見当たりません!
「えっ!!!!!」
そう言えば、少し前にカバンの中身を整理した時に取り出して、なんと戻し忘れていたのです。
「あぁぁぁぁ~~」
まさに天国から地獄に突き落とされたわけですが、終点まではあと30分。
ここからはなるべくお腹のことは意識しないように何も考えずに運転することを心がけます。
そんな中、最悪の事態を想定したトイレポイントに接近。
ここならバスポケットもあり、目の前が公共施設なのでどうしようもなければここで済ませる覚悟だったのですが、パッと入口を見ると「休館」の文字が…
「えっ、休館なの!?」
幸い、このときは痛みが治まっていたので行く気は無かったですが、つくづく運の無さを痛感しましたね。
終点までは約20分。あとは行くしかありません。
途中、信号待ちのときは運転席上にある運賃表示機を眺めてみたり、運賃箱の履歴表示を押して運賃を確認してみたりと普段はしないようなことをして気を紛らわながら終点を目指します。
そして、終点に到着。
心の中で「早く、降りてぇーー」と乗客に叫びつつ、安心感から腹部のアピールが一気に強くなります。毎回思うのですがこのアピールの強さは尋常じゃないですよね。
バスを転回場に着け、他の運転士とあいさつを交わすこともなく苦笑いでトイレダッシュです。
・
・
・
とまぁ、事なきを得たのですが、自分の体調管理の甘さを反省。ちなみに怖くて終車までは水分以外口にしなかったのは言うまでもありません。
「折り返し前にトイレに言っておけば…」
後悔先に立たずとはよく言ったものです。