路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

混雑時、なぜ降車ドアから乗せてくれないの?

路線バスのドアは一般的に前と後ろの2か所にあります。別名「2ドア」と言われるタイプです。他にも、観光バスのような「1ドア」のものや、今では絶滅危惧種とも言える「3ドア」など様々です。

どのドアから乗るのかは事業者や路線によって異なりますが、運賃が均一料金など前払いのケースは「前乗り後降り」、対キロ運賃制の場合は「後乗り前降り」となっている場合が多いですね。

さて、乗るドアと降りるドアが異なる路線バス特有の問題がラッシュです。

特に「後乗り前降り」の場合、混雑していても人がドア付近から動かず前扉や後部は空いているなどアンバランスが生じます。バスに限らず電車でも見られるこの光景ですが、電車と異なるのは「乗るドアが限られる」と言う点です。

電車の場合、乗客は空いているドアから乗車すれば問題ありませんが、路線バスの場合は降車用の前ドア周辺が空いているからと言っても基本的に前ドアからは乗車できません。

「なぜ、降車用ドアから乗れないの?」

理由を挙げれば大きく二つになります。

ひとつはIC乗車券の乗車処理や整理券の発行ができないからです。もちろん、手動で金額を入力することもできますので臨機応変に対応することも可能ですが、それ以上に問題になるのが「バスの利用は先着順である」という点です。

第14条  一般旅客自動車*運送事業者は、運送の申込みを受けた順序により、旅客の運送をしなければならない。ただし、急病人を運送する場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

(引用:道路運送法)

*一般旅客自動車とは、バス(一般乗合)・バス(一般貸切)・タクシー(一般乗用)の総称です。

例えば、ラッシュで混雑している路線バスのシチュエーション。

あるバス停から乗車しようとした乗客が満員の様子を見て乗るのをあきらめたとします。しかし、次のバス停で待っていた乗客は無理に乗ってきた場合、考え方を変えれば「乗車順を無視した」と解釈することができますよね。(ちょっと極端な例ですが…)

そうでなくても、始発のターミナルで車内が混雑しているのを見越して「前ドアから乗せろ!」と後から来た人がアピールすることもありますが、ここで前ドアから乗せると整列乗車している人から見れば公平じゃないですよね。

そのため、降車ドアでこのような扱いを行うと先に乗っている人からクレームが出ることもあるわけです。

正直、「臨機応変でいいじゃん!」と思われる方も多いでしょうが、公共交通は”色々な人”が乗車されますので、乗っているすべての人が「臨機応変で…」と言う考え方ではありません。

また、運転士によって対応を変えると「あの運転士さんは乗せてくれたのに、この運転士は!」となり、本来ルール通り対応している運転士が悪者になってしまうこともあるので「前ドアからはご乗車いただけません」と杓子定規な対応をしなければいけないわけです。

もちろん、混雑時の対応は事業者や地域性によって異なりますので一概に言えませんが、このような側面もあることを理解していただきたいですし、満員が日常化しているのであれば事業者も対応を講ずる必要があるとも思います。

ちなみに私自身は「臨機応変でいいじゃん!」って思っていますが…(笑)

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