21Mar
歩車分離信号は歩行者信号機が青のとき車両用信号機は全方向赤となるため、横断歩道で車両と歩行者が交差せず事故を防ぐ効果が期待されています。このあたりのことは、以前「左折巻き込み事故を防ぐために通学路は”歩車分離信号”にするべきでは?」でも書いたので割愛しますが、今日は歩車分離信号に関する素朴な疑問をお届けしようと思います。
その疑問とは…
『なぜ、歩行者は斜め横断禁止なの?』
と言う点です。
歩車分離信号もスクランブル交差点も「歩行者信号が青のとき、車両用の信号機はすべて赤になる」と言う点は同じです。しかし、歩車分離信号の交差点には「斜め横断はできません(斜め横断は禁止です)」と言う看板が立っていることがあります。
「どうせ、歩行者用信号だけが青なら斜め横断も可能にすれば良いのでは?」と考えてしまうのですが、歩車分離信号で斜め横断できない理由はなぜでしょう?
スクランブルを前提に整備されていないから
スクランブル交差点の発祥は諸説ありますが1968年に熊本県で誕生したとされています。それから全国各地に普及していき1970年代にはあの「渋谷駅前交差点(渋谷のスクランブル交差点)」が登場することになりますが、これらの交差点は斜め横断用の歩行者信号機や塗装が施され、交差点角のガードレールや縁石が無いなど『斜め横断用にあらかじめ整備』されている特徴があります。
しかし、2002年に登場した歩車分離信号は、斜め横断を想定していない普通の交差点に導入されることとなりましたので、交差点角のガードレールや縁石が障害物となってしまうことから『斜め横断禁止』となっているわけです。
もちろん、ガードレールや縁石を解消してスクランブル化することも可能だと思いますが、「ガードレールを外したあとに歩行者が安全に待機できるスペースがあるか?」「自転車の利用が多く、横断歩道上で歩行者と接触する危険はないか?」などと言った安全上の問題や、整備費用などの問題もクリアしなければいけないことからスクランブル化が進まないわけです。
他にも、歩行者用信号の青の長さは1メートルあたり1秒で計算しているそうですが、渋谷交差点のように斜め横断の距離が長い交差点だと青信号の時間を長くせざるを得ず、渋滞の懸念から導入が見送られることもあるそうです。
なお、警察庁では繁華街・駅・バスターミナルの周辺などで斜め横断の効果が期待できる場所は斜め横断について積極的に検討するよう通達していますので、今後、普通の交差点が歩車分離信号になり、さらに状況が整えばスクランブル交差点になる可能性があるかもしれません。