路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

menu

路線バス運転士こーくんのブログ

国交省が示した「大型バスの講習義務化」 でも、事故は繰り返すでしょう。

昨日、「大型バスの講習を義務付けることを国交省が検討している」との内容が報道されていました。言うまでもなく長野県で起きたスキーバス事故に関連する対応なのですが、個人的には「また事故は繰り返す」と感じたのが率直なところです。

一応、ニュースを確認しておくと…

国土交通省は、バス事業者が運転手を採用する際、運転手が長年運転していない大きさのバスを運転する場合、講習を義務づける方針を固めた。小型バスと大型バスではブレーキの仕組みなどが異なるためで、安全確保を目指す。

(引用:朝日新聞)

と言う内容です。

一歩前進したことには違いないので本来は評価するべきなのですが、「不慣れな運転士でも実践投入しなければいけない業界事情が事故の背景として考えられるのであれば、根本的な対策はそこではない」と思うからです。

確かに、関越道の事故以降、最低料金が導入されるなど制度が変わりましたが、今回のように決められたルールを守らない事業者がいる限り、この手の対策はあまり意味がないと言えます。

現在、運転士を新規採用したときは6時間の座学講習を行うように定められているとのことですが、普通の事業者は6時間どころか、それ以上(数週間単位)も研修をやっているのが”あたり前”ですからね。

本当に事故を撲滅したいのであれば、まずは監査を徹底的に行い今回の事業者のように違反行為が繰り返されているところの運行許可をはく奪するくらいのことをやらないとダメでしょう。

私が今回の事故に関連した記事で印象に残ったのは…

大手私鉄バスの50代の運転手は、「いつかこういう事故が起きることは目に見えていたんだよ」と憤慨する。「大手私鉄のバスなら、あんな事故はありえない。小泉さんの規制緩和から、バスが5台あれば事業ができるようになった。いい加減な会社が増え、今回の事故につながった」

(引用:週刊女性PRIME)

と言うコメントです。

実際、1999年度に2336社だった貸し切りバスの事業者数は2011年度に4533社へ倍増したそうです。一方、監督する公務員は倍増されているわけではありませんから管理が行き届くわけがなく、ルールが蔑(ないがしろ)にされるのは自明とも言えます。

規制緩和は絶対悪とは言いませんが、その”副作用”が事故と言うかたちで表れてきているわけですから、国交省が示している一時的な対応(薬療法)ではなく、抜本的な対策(手術を伴う外科療法)が必要だと思いますがいかがでしょう?

私には子供がいますが「夜行バスで旅行に行きたい」と言ったら間違いなく「ダメ!」と即答するでしょう。格安ではなく割高な大手のバス会社であれば譲歩するかもしれませんが、現役の運転士が夜行バスを勧めることができないのが今の状況です。

国会では「政治と金」の問題で足の引っ張りあいをしていますが、「人命」などの重大事項が二の次になっているのはなんともやるせないですね。

LINEで送る
Pocket

関連記事

「優良バス会社への就職を加速させる」バス運転手総合サイト「バスギアターミナル」