路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

menu

路線バス運転士こーくんのブログ

記憶に残る悪質な飲酒運転による事故と件数の推移

先日のブログで「無くならない飲酒運転」について記事を書きましたが、結構大きな反響がありましたので今回はその続きについてお届けします。

飲酒運転による重大事故が発生する都度、メディアで大きく取り上げられるとともに、更なる厳罰化を求める声が上がります。ちなみに飲酒運転に関する死亡事故を起こし「危険運転致死傷罪」で起訴されると、最大20年の懲役刑に問われるのは周知の事かと思います。

しかし、死亡した遺族にしてみれば「人を飲酒事故で殺しておいて20年!?」と言うのが正直な心情だと思いますし、私自身も事の重大性を考えると国民感情と法律が乖離(かいり)しているように感じます。

さて、みなさんは飲酒運転による死亡事故の件数の推移をご存知ですか?

飲酒運転による事故件数の推移

警察庁の資料によると、平成9年に1240件発生した飲酒運転による死亡事故は、平成26年の時点で227件にまで減少しています。つまり、この15年ほどで5分の1以下にまで減少した計算になります。

背景には飲酒による悲惨な事故がメディアやネットによって広まり、飲酒運転根絶に向けた世論やそれに伴う法改正(厳罰化)があると思われます。

記憶に残る悪質な飲酒事故

1999年(平成11年)トラックが乗用車に衝突して炎上し3歳と1歳の女児2人が焼死した『東名高速飲酒運転事故』。燃え上がる車と千鳥足のトラックドライバーが映ったニュース映像には衝撃を受けた記憶があります。

しかし、この時代に危険運転致死傷罪は存在せず被告のドライバーに下された判決はなんと懲役4年。あまりにも刑が軽すぎることが問題視され「危険運転致死傷罪」が成立することになったわけです。

そして、2006年(平成18年)福岡市に勤めていた男性が運転する乗用車が橋上で追突事故を起こし、追突された車が博多湾に転落し4歳・3歳・1歳の3人が溺れて死亡した『福岡海の中道大橋飲酒運転事故』も印象に残る飲酒事故のひとつです。

こちらは危険運転致死傷罪があるにも関わらず一審では適応されず懲役7年6月の判決が下されました。検察側が控訴するのは当然なのですが、被告も不服として控訴したことから世間から非難を集め裁判の行方に注目が集まりました。

私も当時「(被告は)反省しているの?」と思った記憶がありますが、結果は危険運転致死傷罪と道路交通法違反を合わせて懲役20年とした福岡高裁の判決が確定(上告棄却)することとなりました。

このような悲惨な事故から飲酒撲滅に向けて世間の意識が高まったわけですが、それでも「北海道砂川市の一家5名死傷事故」「東京世田谷区の暴走事故」などの悪質な飲酒事故が続いています。

なぜ、飲酒運転が減らないのか?

冒頭にも書いたように飲酒による事故は昔と比べれば激減したと言ってもいいでしょう。しかし、平成20年頃で下げ止まりを見せているわけです。

なぜ、下げ止まっているのでしょう?

まず、平成14年頃から急激に飲酒運転による事故が減少した背景としては、「ちょっとくらいの距離なら飲酒運転でもいいだろう…」と言う安易な気持ちのドライバーが、厳罰化や度重なる飲酒事故の報道などにより飲酒運転を辞めた側面が大きいように思います。つまり、飲酒運転に対する意識が変わったわけです。それが大幅減少の要因と分析しています。

しかし、このような時代背景があっても飲酒運転を継続するドライバーが若干残るわけです。その若干残っている人数が下げ止まりの要因ではないかと個人的には思っています。

そうなると、残る方法は「更なる厳罰化」や「一斉取り締まりの強化」しかないような気がします。例えば、最大20年の懲役刑とされる危険運転致死傷罪に、悪質性が際立つものには無期懲役も求刑できるようにし、さらに飲酒運転による欠格期間を無期限にするなどと言った感じです。

もちろん、私は法律家ではありませんので「他の刑法との整合性・公平性が保てない」などと言った異論反論もあるかもしれませんが、日本の刑法が「応報刑論(犯罪に見合うだけの刑罰を科すべきであると言う考え方)」の側面もあるとすれば決して大げさではないと思います。

いずれにしても、「飲酒運転は鉄の凶器を無差別に振り回すことと同じようなこと」と言う意識を持たないといけませんね。

LINEで送る
Pocket

関連記事

「優良バス会社への就職を加速させる」バス運転手総合サイト「バスギアターミナル」