2Sep
世間は慌ただしい週末ですが
今日は公休なのでのんびり過ごしています。
それにしても涼しくなりましたね。
日中でも日かげにいると風に冷たさを
感じるようになりました。
「朝は半袖だと寒いよ~」
他の運転士からは
そんな声も多く聞かれます。
さて、今日はあまり知られていない
『バスのやさしい装置』について
お届けしましょう。
春からスタートしたメルマガですが、
メルマガを一通配信すると
多くの方より感想などのメッセージを
いただきます。
「勉強になります!」
「お互い安全運転でがんばりましょう!」
と言った、励ましの内容もあれば
先日の”浄化装置”については
「運行管理者に任せて帰りますよー」
など、同業他社さんの情報なども
多く寄せられます。
私自身も「そうなんだー」
と、勉強させてもらっています(^_^)
そんな多くのメッセージの中、
“質問”をいただきましたので
紹介&解説したいと思います。
質問なのですが、
先日変わった観光バスをみかけました。乗客の乗降時は車高が下がり、
走行時は車高が上がる
という光景を目撃しました。あれはどういう仕組みなのですか?
メッセージありがとうございます。
これは『ニーリング(kneeling)』
と呼ばれる装置のことです。
まず、バスの車体にはエアサスペンション
(通称、エアサス)と呼ばれる圧縮空気を
使用したバネが使用されています。
ニーリングは、その圧縮空気(ドア側)を
抜くことによってステップを7cm程下げ*
乗降をしやすくする装置のことです。
(*FUSO・HINOのカタログより)
ちなみに「ニー(knee)」とは
膝(ひざ)の意味で、装置の名称は
人が片膝をついたときの様子に
由来しているのだそうですよ。
そんなニーリングの起動(作動・復元)は
運転士のボタン操作によって行ないます。
また、ドアが開いたときに自動で
ニーリングが作動する扉連動モードも
ありますので福祉施設を巡回する系統では
連動にしている運転士もいるのですが、
私の営業所では扉連動は禁止扱いに
なっています。
「乗降に優しいニーリングを
なぜ扉連動(常時使用)にしないの?」
と、思われるかもしれませんが、
実は”予期せぬトラブル”の原因に
なりかねないからです。
例えば…
●バス停間が短いと車高を戻すための
エアが溜まらない。
●バス停ごとに傾くと乗客が酔う。
●前ドアを縁石にかぶせて停車させると
ドアを開けたときにガリッとなる。
●おばあちゃんが運賃を払っているうちに
傍らのシルバーカー(手押し車)が
コロコロ転がっていき車外に落下…
●万一、車体の下に人が入り込んだとき
ドアを開けて自動で車高が下がると危険。
と、優しい点がクローズアップされる
ニーリングですが、反面、このような
予期せぬ事故やトラブルなどの危険も
潜んでいるのです。
便利な装置ですが
最終的には運転士の状況判断が
求められる装置と言うことですね。