4Jan
2017年お正月に放送された『ローカル路線バス乗り継ぎの旅、第25弾』 今までレギュラーで出演されていた太川陽介さんと、蛭子能収さんが「卒業」と言うことで、特別な思いで見ていた方も多いのではないでしょうか?
さて、今日は今回のルートとなった「会津若松(福島)~由利本荘(秋田)」のルートについて検証していこうと思います。当然、記事にはネタバレが含まれますので「聞きたくなーい!」と言う方はここで離脱してくださいね。
有終の美を飾れず!
今回のコースは福島県の会津若松から秋田県の由利本荘までの東北コース。放送前、「2014年正月に失敗した、館山~会津若松(第16弾)のリベンジも兼ねてこの地域が何らかの形でコースに加わるのでは?」と予想していたのですが、会津若松が出発になったあたりは「リベンジ」&「有終の美を飾る」と言う意味合いがあったのかもしれません。
しかし、結果は山形県東田川郡庄内町余目でバスが無くなり失敗となりました。
正直、失敗で終わるのはガチでやっている証拠であるとともに、ゲーム性があるこの番組の醍醐味でもあると思うのですが、検証していくと「残念なミス」が多々ありましたので、順に検証していこうと思います。
想定される三つのルート
まず、会津若松から由利本荘まで想定されるルートを考えてみましょう。
今回、太川さん一行が進んだルートは、郡山→仙台→新庄→酒田→秋田と言うルート(上図赤線)を選択しましたが、出発時は会津若松から「米沢に北上する内陸ルートにするか?」「新潟に抜ける日本海ルートにするか?」悩んだと思います。
案内所では米沢に北上するルートも、新潟に抜けるルートも「ハイウェイバスしかない」との案内で除外されました。しかし、検証してみると新潟に抜けるルートは新潟県との県境で徒歩移動が含まれるものの、その先、路線バスを乗り継いで新潟まで行くことは可能でしたので、選択肢のひとつとしてはアリだったかもしれません。
ただ、県境となる国道49号の峠越え(西会津町~阿賀町)は約10kmとそこまで距離はないものの、歩道があまり整備されていない印象ですので、移動の安全性を考えると「まずは郡山に行く」という選択は無難だったような気がしますが、新潟方面を選択していれば展開は異なっていたでしょう。
喜多方ラーメンのおかげで2時間ロス!?
「リーダー痛恨のミス!」とナレーションがあったのは初日のこと。
会津若松の案内所での助言をもとに太川さん一行は、湖南→大槻車庫→郡山(青線)で郡山を目指します。しかし、バスの待ち時間が3時間ちかくあったので喜多方まで足を伸してラーメンを食べに行くことに。
これですっかり一行はラーメンモード!
そして、喜多方に着くとラーメンに舌鼓を打つのですが、路線のリサーチよりラーメンを優先したため猪苗代駅に行くバス(赤線)を見逃してしまいます。もし、この見逃したバスに乗っていれば、徒歩が10kmほど途中に含まれますが、最終的には青線ルートに合流し郡山まで行くことが可能でした。
結果、一行は郡山に19:15に到着しましたが、喜多方で猪苗代駅行きのバスを見逃さなければ郡山に17:13に到着することができましたので2時間ロスしたことになります。私自身、この2時間が非常に大きいと思いましたね。
【見逃したバスに乗っていたら…】
喜多方駅(11:00)→猪苗代駅(12:41)
徒歩9km 120分
上戸水門(15:33)→行政センター(16:03)
行政センター(16:06)→大槻車庫(16:35)
大槻車庫(16:38)→郡山駅前(17:13)
郡山駅前(17:30)→フェスタ(17:53)
徒歩9km 120分
本宮駅(20:00頃)
2時間のロスが本宮への移動に与えた影響
二日目、郡山から磐梯熱海を経由して本宮・二本松を目指します。
上図で見るとわかりますが、磐梯熱海から本宮へ抜ける紫線のルートは遠回りですよね。初日、17:13に郡山へ到着しても磐梯熱海を経由して本宮に行くバスはないのですが、実は、郡山から本宮の近くまでバスで行き、そこから9kmほど歩けば初日に本宮まで行くことが可能でした。
つまり、喜多方ラーメンのロスがなければ二日目は本宮からスタートすることが可能だったわけです。もちろん、徒歩による負担はありますが…
仮に二日目のスタートを本宮とすると…
【2日目】
本宮駅前(7:10)→岳温泉(7:39)
岳温泉(8:01)→二本松駅前(8:25)
二本松駅入口(8:28)→福島駅東口(9:33)
福島駅東口(9:45)→藤田南(10:29)
徒歩6km 90分
越河清水(12:15)→白石駅(12:41)
白石(13:33)→蔵王町役場(14:00)
蔵王町役場(16:14)→村田(16:40)
村田(16:59)→川崎仲町(17:16)
川崎(18:40)→仙台駅前(19:59)
仙台駅前(20:25)→新庄駅(22:43)
【3日目】
新庄駅前(7:20)→小川町(7:38)
徒歩10km 120分
古口駅(10:35)→草薙温泉(10:50)
徒歩4km 50分
清川駅前(15:18)→余目駅前(15:59)
余目駅前(16:30)→酒田駅前(17:18)
酒田庄交バスターミナル(18:40)→本庄営業所(20:13)
と、本宮から先を同じ行程で移動しても『最短三日目でゴールすることができた!』という結果になりました。仮に、徒歩を考慮して時間にゆとりを持たせても4日目で到着できそうですね。
酒井へ歩けば一発逆転も可能だった!?
さて、ここまでは「喜多方ラーメンのロスがなければ早めに先の行程に進めた」と言う話ですが、実は、失敗となった最終日に逆転できるチャンスはまだ残っていたのです。その鍵となるのが3日目夜の新庄に着いたときの運転士さんとの会話です。
ここで「酒田まで行けば由利本荘まで一本のバスで行ける。高速は乗らない」と助言を受けます。ちなみに、このバスは始発の仙台から酒田までは高速道路を走行するためルール上は使用できないのですが、酒田から終点の由利本荘までは一般道を走行するため使用することが可能です。
そして、最終日は吹雪の徒歩移動を強いられながらも余目駅に16:00に到着するのですが、撮影日が土曜日だったこともあり酒田に向かうバスは運行終了。
ここで太川さんはリタイヤを宣言します。
しかし、余目駅から酒田(イオン酒田南店)のバス停までは約10kmの距離にあり、しかも、最終便は20:00発(本荘駅前21:43着)なので『徒歩で酒田まで行けば最終便に間に合った』と思っています。
しかし、年齢も去ることながら極寒での徒歩移動が多かったですから体力も限界だったかもしれません。そう考えるとリタイヤする気持ちも理解できるのですが「有終の美を飾ってほしかったなぁ」と言うのが本音です。(それ以上に「なんで撮影日が土曜日なの?」とも思いましたが…)
分断された路線網
近年、各市町村をまたいで運行する中距離のバス路線の撤退が相次ぎ、「市町村内を走るコミュニティバス」と「都市間の高速バス」との二極化が進んでいます。今回も「徒歩なく、バスだけで全行程進むのは難しいのかな?」と感じました。
しかし、「隣の町までちょっとお出かけ」と言う乗客のニーズも多少はあるでしょうから、近隣の自治体が連携して路線バスの利便性を向上させる(バス停を隣の自治体まで延伸する、接続を考慮する)必要性もあるように感じます。
…にしても、時刻表や路線図をネットで調べて検証したのですが、路線図がないバスも多くかなりの時間を費やしました。この情報化社会ですぐに調べることができない不便さも利用者の減少に何らかの影響を与えているような気もしますね。
最後に、厳しい路線バスを取り巻く環境で、バス旅の魅力を伝えていただいた太川さん蛭子さんお疲れ様でした。また、特別編でもいいので名コンビの復活を期待しています!