路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

路線バスの車内放送から”個性”が無くなる時。

「おまたせしました。○○行きです。」「次、止まります!」「お立ちの方はつり革をご利用ください。」「扉が開いてから席をお立ちください。」など、おなじみの車内放送。

バスに限らず、電車・駅・テーマパーク・コンサートホール・ショッピングセンターなど様々なスペースに案内放送が存在し、その多くはアナウンサーや声優さんなどが発した声をあらかじめ録音して再生しています。

一昔前、バスの車内放送は、あらかじめ録音した音声を「8トラ(8トラック・カートリッジテープ)」と呼ばれる大きなカセットテープで再生する方法が採用されていました。

カセットテープが伸びて「つぎ~は、○○です~。」など”ムラ”がある放送に懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか?

その後、車内放送のデジタル化が進み、録音した声をデジタル機器で再生する放送装置が登場します。

この装置の登場によって、カセットテープではできなかった扉が閉まる際の「扉が閉まります」、降車ボタンが押されたときの「次、止まります」などシーンに合わせたリアルタイムな車内放送が可能となり利便性が飛躍的に向上します。

そして現在、車内放送はアナウンサーが発した声を録音するスタイルから、パソコン上で声を制作する『ボカロ音声(仮称)』の時代に突入しました。

つまり、初音ミクのようなVOCALOID(ボーカロイド)が車内放送をしているわけです。(イメージ)

パソコン上で声を制作することによって、バス停が新設されたときのアナウンスをわざわざ録音する手間が省けたわけですが、人が発する滑らかな発音やイントネーションにはまだまだ及ばず、運転しながら「なんだ、このイントネーションは? 名古屋弁か?」と気持ち悪さを感じることもあるのが事実です。

(制作者のスキルの問題かもしれませんが…)

声の個性が失われつつある

よく「あのアナウンスの声、あのアニメの声優さんと同じ!」とか、イベントで「車内放送の声が有名アイドルの○○だった!」と言うことが話題になりますよね。

私も東京ディズニーシーに家族で旅行に出かけたときに同じような経験があります。

それは、ディズニーシーでショーが始まる前に聞こえてくる男性のアナウンス。

聞いたことある方ならご存知かと思いますが、結構良い声ですよね。

そこで「アナウンサーは誰かな?」と自宅に帰って調べてみると、森川智之さんという声優さんが担当されていることがわかりました。

驚いたのそのあとです。

実は、森川さんは現在放送されているアニメ『クレヨンしんちゃん』で野原ひろしを代役で演じている方なのだそうです。

さらに、私が20歳代に観ていたアニメ『犬夜叉』では悪の首魁である奈落も演じていたそうで、家内は思わず「えっ、野原ひろしと奈落がディズニーシーに!?(笑) 声優さんってスゴイよね」とびっくり。

このように”声”にも個性があるわけですが、最近、大手バス機器メーカーの車内放送はボカロ音声が主流になりつつあります。

また、車内のデザインも国土交通省の「標準仕様ノンステップバス」の認定制度によって似たようなデザインになりつつあります。

利便性は高くなる一方、「都バスに乗っても、市バスに乗っても、田舎のバスに乗っても、車内放送の声は同じデザインも同じ。」と言うように”バスの個性”が失われていくのはどことなく寂しい感じがしますね。

運転士だけの特別放送!?

最後に『乗務終了後に回送にすると、某アイドルが運転士の労をねぎらう特別な車内放送がアナウンスされる』なんてものがあったら面白いかも!?

(そんなユーモラスなことをやる事業者はさすがにいないか~)

…なんてくだらないことを考える今日この頃です。

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