路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

東名事故のドラレコ映像。LTEやLANを使用した映像データの送信技術に注目。

2017年6月10日、東名高速で発生した観光バスと乗用車の衝突事故。乗用車が中央分離帯を越え対向車線を走行する観光バスのフロントに直撃したこの事故はメディアでも大きく扱われました。

(お亡くなりになられた方に哀悼を、負傷された方にお見舞いを申し上げます。)

私の営業所でも10日はこのニュースの話題で持ちきりだったのですが、幸いバスの乗客に死者がいなかったことで安堵した様子が広がっていたように思います。

また、今朝(11日)の朝刊はシートベルトの着用を促し、最悪の事態を回避したバス会社を評価する記事が一面に掲載されていましたが、義務とは言え最終的な着用は乗客に委ねられる部分がありますが、確実にシートベルトの着用を促した運転士や事業者に感心したのが本音です。

路線バスの場合、シートベルトはないので観光バスとは状況は異なるものの、急ブレーキやバス停発着時の転倒事故(車内事故)は想定されますから「お立ちの方は手すりをご利用ください」など注意喚起のアナウンスは欠かせません。

しかし、正直マニュアルで義務づけられていても「アナウンスを言う運転士」「無言の運転士」と意識に差があるのが実際のところですので、この事故を教訓に無言の運転士は意識を改めて欲しいのが本音です。

さて、今朝早くにこのニュースについてTwitterでツイートしたのですが、このブログをアップする時点(11日夜)でリツイートが4000件を突破しており、この事故に対する関心が高いことに驚きました。

(私のTwitterアカウントもこのリツイート数は過去最大だと思います)

ドラレコの映像は事故直後に事務所で確認できた!?

さて、事故を教訓に色々な課題や教訓が生まれたわけですが、私がこの事故で着目したのは『ドライブレコーダー(ドラレコ)』です。

乗用車にも普及しているドラレコですが、その多くはSDカードに映像を記録するタイプです。

つまり、事故やクレームが発生した場合、その当時の映像を確認するためには車両に搭載されたドラレコからSDカードを抜き、さらに事務所のパソコンでSDカードの映像を抜き出さなければ見ることができませんので「帰庫」を待つ必要があるわけです。

しかし、今回の事故映像は午前7時半頃の事故発生から約10時間後(夕方)にはメディアに公開されており、ドラレコの映像が夜のニュースで放送されていました。

普通の方ならあまり意識しないと思うのですが、実は業務用のドラレコには映像データをLTE(4G)や無線LAN回線を通じてリアルタイムでサーバーに送信する機能を有しているものがあるのです。

わかりやすく説明すると『ドラレコ映像を中継している』と言うことです。

今回、被害を受けた東神観光バス株式会社のプレスリリースには「弊社独自安全装備」としてドラレコの情報が明記されており、メーカーサイトを調べてみると確かに映像がLTEを使用しリアルタイムで別の場所にあるサーバーに保存される仕組みが採用されていました。

ドラレコの紹介動画がありましたので興味がある方はこちらをご覧ください。

事故やトラブルの時に証拠として威力を発揮するドラレコですが、映像を事務所でリアルタイムに確認することができる機能はバスなどの事業車では非常に有益だと思います。

例えば、「事故や大雨で通行止めになりました」「接触事故を起こしました」「経路を間違えました」「バスジャックが発生しました」と言う情報が運転士から点呼場に寄せられた際、事務所側は場所や状況の確認に時間を費やされ、どうしても判断や指示が遅れてしまいます。

しかし、今回の事故の場合、事務所の運行管理者は事故発生の一報を受け、1時間も要せず事故の映像を確認することができたのではないでしょうか。

そのため、プレスリリースも迅速で事故概要も具体的な内容だったのではないかと推測します。

『百聞は一見にしかず』と言ったところでしょう。

このあたりは、ドラレコが搭載されておらず事故原因の究明まで時間を要した「軽井沢のスキーバス転落事故(2016)」とは真逆というわけです。

運転士が置かれているや事故状況が映像でリアルタイムで確認することができれば、運行管理者(指示を出す側)も的確な指示を出しやすいでしょうし、問い合わせにも迅速に対応することが可能です。

何より事故の場合、その原因が解明されない中でバスを利用する乗客の不安面を考えれば、このように映像をリアルタイムで確認でき迅速に対策を講じることができるシステムは必要不可欠と言えます。

今回はドラレコやその送信システムの効果が遺憾なく発揮された例になると思います。

啓発活動に事故映像を!

最後に、不幸な事故ではありましたが、このような衝撃的な映像を見ると交通安全に対する意識が少なからず刺激されるものだと思います。

実際、私をはじめ「車が飛んでくる」と言うのは”アクション映画の世界だけ”と思っていた方も多いでしょうから、この映像を見てシートベルト・ハンドル操作・速度などについて色々考えさせられました。

日本の交通事故のニュースのほとんどは事故後の映像ですから、どうしても事故の衝撃が伝わりにくく他人事のように思えてしまいますが、このような事故瞬間の映像が放送されれば、ドライバーに起因する不幸な事故が減ることに貢献するのではないかと思います。

そのような意味でもドライブレコーダーはもっと活躍するのではないかと思います。

【関連リンク】パーキングモード付きドライブレコーダーのおすすめと機能比較

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