路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

「ラッシュは大型バス、日中は小型バス」とはできない理由。

例えば、電車だとラッシュ時は10両編成でデータイム(閑散時)は4両編成に減車して効率化を図る(乗客数と車両定員のバランスを一定にする)ことがよくありますよね。

そのため、路線バスもたまに「ラッシュ時は大型バスで、データイムは小型車両にすればいいのに…」と言う質問が見受けられます。

そこで今日は「車両運用事情」についてちょっと解説してみましょう。

まず、先ほどの「ラッシュ時は大型バスで、データイムは小型車両にすればいいのに…」と言う疑問ですが、先に答えを言ってしまうと『あまり意味がない』のが実情です。

例えば、下図のダイヤで説明してみましょう。

※説明用なので、運転士の労働条件を定めた「改善基準」などの細かな決めごとは考慮していません。

このように駅前と団地を4往復する路線があったとし、そのうち半分(データイム)を小型バスで運行するとします。

そうすると、本来1人の運転士で4往復できるはずが、車両を交換することによって2人の運転士が必要になってきます。

仮に車庫に戻って車両だけ交換する(運転士は1人)としても、運賃箱の精算処理や小型バスを新たに出庫させるための始業点検も必要になってきますから、精算業務・始業点検・回送など人件費や負担が増えてしまいます。

一方、小型バスにするメリットは「燃費」になってきますが、大型バスのカタログ燃費は1Lあたり約4~5kmほどで、小型バスは1Lあたり約6~7kmと劇的に燃料費が削減できるわけではありません。

仮に、(1)片道20km、(2)大型バスの燃費は1Lあたり5km、(3)小型バスの燃費は1Lあたり7km、(4)軽油レート1Lあたり97円と言う条件で試算してみると…

4往復すべてを大型バスで走行すると年間の軽油量は11,680L、2往復分を小型バスにした場合の軽油量は年間7,926L(大型5,840L・小型2,086L)となり、これを軽油代で置き換えると年間36万円の燃料代削減につながり、一見するとメリットが大きいように見えます。

しかし、そのために1,500万円もする小型車両を購入するのは購入代や管理面からもナンセンスですよね。

さらに、テスト期間などで昼までに学校が終わると小型バスでは乗り切らないリスクが生まれますし、不意の車両交換でも全ての路線が大型車で運行していれば柔軟に対応することが可能です。

また、着席定員が多ければ車内事故のリスクも下がります。

このように、総合的に見ると日中だけ小型バスに置き換えるのはあまり意味が無い(と言うより管理が煩雑になる)わけです。

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