16Jul
電車とは異なり一般道を走るバスは信号待ち・ラッシュ渋滞・工事渋滞などの影響でなかなか決められた時間通りに運転できないのはご存知かと思います。
一昔前はこう言った事情を考慮せずにダイヤを組んでいたようですが、最近は『余裕を持った運転で事故防止』『定時運行から利便性を確保する』と言う側面から時間帯ごとに所要時間を調整する事業者も多くなりました。
そこで今回は、ダイヤの組み方についてちょっと解説していきましょう。
もちろん、ダイヤの組み方は事業者やダイヤを組む担当者(鉄道風に言うと”スジ師”)によって異なりますので紹介するのは一例です。
まず、路線バスで一番肝心なのはバス停ごとの所要時分です。
時間帯によってこの区間は1分、この区間は2分などと決められているのですが、ラッシュ時は渋滞による遅れが予想されますので「余裕時分」を設定してます。
この余裕時分とは、例えば「デイタイムの所要時間が1分の区間はラッシュ時は2分に延長し遅れを吸収できるようにする」と言った感じです。
ただ、さすがに片側一車線の道路で余裕時分を設定してしまうと、時間調整で停車したとき渋滞に拍車を掛けてしまいますから、駐車スペースがあるバス停など時間調整で長時間停車しても後続車にあまり影響しないバス停が選ばれます。
例えば、上図のように各バス停の所要時分や距離が同じ場合、時間調整が難しいバス停(団地前・一丁目・愛知公園前)は順調に走行できることを前提に所要時間は詰められ、駐車スペースのある中部病院前の出発時刻に余裕を持たせて遅れを吸収できるようにしているわけです。
このように複数のバス停で余裕時分を設定することによって「終点に近づくほど遅れが増していく」と言う状況を避けることができ、定時運行による利便確保に努力しているのですが、道路状況は一日ごとに変わりますから余裕時分を設定していてもそれ以上に遅れることも多々あります。
もちろん、GPSなどによってデータは収集していますのでダイヤ改正時は平均値から所要時間を算出しているそうなのですが、他にも、一つのバス停を複数の路線が使用する場合の調整、折り返しの休憩時間、電車との接続、運転士の行路編成や車両運用などが絡まって「ダイヤ改正」はかなりの労力になるそうです。
実際、ダイヤ改正(所要時間を長めに設定した)によって「この電車に間に合わなくなった」と言う苦情もあるそうなのでなかなか大変なようですが、個人的には「遅れるよりなるべく定時に到着する方がいいでしょ!」なんて思ったりもします。
とまぁ、遅れるのが当たり前の路線バスでも事業者によってはこのようにダイヤを工夫しながら運行しているのをご理解いただければ幸いです。
ただ、そうは言っても乗客の中には「今日は3分も遅れてるけど!?」と文句を言ってくる人もいるのが現実ですが…