11Sep
「愛知県の新東名高速道路での高速バス火災(9日)」「山形県での路線バス火災(7日)」「小田急の沿線火災による車両への延焼(10日)」など、鉄道やバスの火災ニュースが目立ちました。
いずれも犠牲者がいなかったのは幸いでしたが、今日は気になるバス火災について国交省の「バス火災事故防止のための点検整備のポイント」をもとに私見も交えて書いてみようと思います。
火災発生件数は年間平均17件
まず、バス火災の年間発生件数は年によって差はあるものの年間17件発生しているそうです。
ちなみに、日本におけるバスの台数は平成27年の資料で、貸切50,182台、乗合60,352の計11万台になりますので、これを年間発生件数の17台で割ると、約6500台に1台の割合でバス火災が発生していることになります。
数を多く感じるか、少なく感じるかは個人差があると思いますが、多くの人が利用するバスの性質を考えるとちょっと多いような気がしますね。
車歴や走行距離は関係あるの?
次に走行距離とバスの車歴(使用歴)との関係です。
実際のところ「新しい車両でも近距離路線にしか使用しないバス」もあれば「古い車両にも関わらず長距離路線に多用している」など運用が異なりますので、走行距離に関しては一概に言えないようです。
しかし、車歴に関しては「高齢になるほど火災が発生する傾向がある」ことは明らかなようで、グラフを見ると車歴17年以上になると発生件数が一気に上がっているのがわかります。
まぁ、バスに限らず使用歴が長くなればトラブルが多くなるのはよくある話しですので、なんとなく理解できるかもしれません。
個人的には経営状況などがあるものの、10年~15年程度で新型車両に交換するのが理想なのではないかと思っています。
気になる原因は?
残念ながら、国交省の資料では『点検整備不十分や整備作業ミスに起因する火災事故が約6割を占めている状況』とまとめられています。
つまり、半数以上はヒューマンエラーというわけです。
例えば…
●エンジンルームの点検時にホースからの油のにじみを見逃した。
●エンジンオイルの点検で使用したウエスや軍手をエンジンルームに置き忘れた。
●冷却水が下限以下にも関わらず見逃した。
●整備時の締結が甘く接合部から油が漏れた。
●電気配線を誤った。
と言う、点検整備におけるミスや…
●飲み物がパネルなどに侵入し電気回線をショートさせた。
●パーキングブレーキの戻りが甘く引きずりから引火した。(主に小型車両)
●水洗い洗車時に電気系統に水が浸入しショートした。
と言う、運転士側のミスもあるわけです。
個人的に一番意識していること
最後に、色々な原因から出火するわけですが、個人的に重点を置いているのが「エンジンルーム」の点検です。
実際、出火場所については約53%が「エンジンルーム」となっています。
私も始業点検で「配管からの油のにじみやエンジンルーム内に油が漏れた形跡がある」のを確認したことも多々あるのですが、このような異常を見つけたら、整備管理者に点検整備を依頼することが運転士に求められるような気がします。
また、事業者側もこのような知識や異常時の対応(乗客の避難誘導)などの新人教育をしっかり行う必要があると思っていますがいかがでしょう?