路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

「転回場で待機しているなら早くバス停に着けてくれればいいのに!」とはできない理由

以前、「発車するバスに割り込まれた!」「走るのが遅いから道を譲れ!」「アナウンスが全くない!」「毎回遅れて迷惑してる!」など、路線バスに関するクレームについて色々紹介したのですが、今回はバス利用者なら一度は頭を過ぎったクレームをについて紹介してみようと思います。

その内容とは、転回場でバスが待機しているのを見ている乗客から『待機しているなら早くバス停に着けて乗せてくれればいいのに!』と言った内容です。

確かに、始発停でバスを待っている人の心理としては「早くバスに乗りたい」となるのも理解できますが、例えば、飲食店では「11時から営業」、病院では「8時45分から受付開始」となっているように、利用者の対応をはじめる時間は決められていますよね。

これは、路線バスも例外ではなく、事業者・営業所・運転士によって差はあるでしょうが、多くは「出発3分前にバス停に着車」などルールが決められています。

この背景のにあるのが休憩時間です。

例えば、11:45に到着したバスが転回場に入り、次回11:57にバス停に着車させ12:00に発車する行路の場合、11:45から11:57の12分間は休憩時間として扱われます。

しかし、11:57に着車させるバスを勝手に11:50に着車した場合、運転士の休憩時間が7分削られ休憩時間は5分になりますよね。

実は、以前からこのブログで書いているように、運転士の休憩時間(運転離脱時間)については『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)』で詳細が定められており、休憩時間は分割するとしても「1回10分以上」と決められています。

連続運転時間は4時間が限度です。
運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に運転を中断して30分以上の休憩等を確保してください。ただし、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に運転を中断する場合の休憩等については、少なくとも1回につき10分以上としたうえで分割することもできます。
(改善基準告示)

そのため、先ほどの「12分休憩」は休憩時間として認めてくれるのですが、「5分休憩」は休憩時間とは認められず、行路の内容によっては連続運転時間に違反する可能性が出てくるわけです。

他にも、事業者の多くは行路に基づき分単位で給与計算を行っているところもあるので、給与面で問題が生じてくる場合があります。

それ以上に公共交通のサービスは均一が原則ですので、「あのバスは○分前にバス停に着けてくれたのに、このバスはギリギリだった!」と、不均衡が生じないようにするために細かくルールを決めている背景もあります。

とは言っても、このあたりは事業者や路線の性質(地域性)によりますので、夜、郊外の転回場では「10分以上前からドアを開けて乗車可能になっている」と言うこともあるでしょう。(と言うか、実際にあります)

個人的には法律論や勤怠に関する部分も大切だと思いますが、前者のような様々な背景を抱えながら忙しく運転する幹線路線ではなく、後者のようなのんびりとした雰囲気で運転できるバスに乗務したいのが本音ですね。

個人的には、夏の夜、郊外の転回場でカエルの鳴き声を聞きながら感傷に浸るのが好きです。

「ふと、隣を見ると”ト○ロ”が!?」とはならないでしょうが…(笑)

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