10May
バスの運転士と聞くと「運転しているだけだから楽でいいよね」と思う方もいるかもしれません。
確かに私もトラックに乗っていたときは「ちゃぶり」と言って引越し業者のように個々の段ボールを手で積み込むこともしていましたので、その点では肉体的な疲労は少ないのは確かです。
ただ、バス運転士に転職して予想以上にしんどかったのは精神面(ストレス)ですね。
「手すりにつかまってください」と言ってもスマホに夢中の乗客、イヤホンの音漏れがうるさい乗客、右ウィンカーで出発しかかっているのに追い抜いてくる車、バス停前の駐停車、割り込み、遅れによるストレスなど挙げればきりがありません。
正直、カッとして平静さを失うと事故につながりかねませんから、なるべく「こんなものだ」と割り切っているのですが、最近は「(イラッとした車に対して)パンクでもすればいいのに…」など、”悪魔のささやき(心の声)”も多くなったような気がします。
もっとも、思うだけで口に出すことはありませんが、みなさんも普段の私生活でカッとなったとき、「人に言えないような相手の不幸」を想像したことありませんか?
このような”悪魔のささやき”は自分の醜い部分だと長年思っていたのですが、実は心理学では「シャーデンフロイデ」と言って人間に備わったごく普通の感情なんだそうです。
▼以下引用
シャーデンフロイデ(独: Schadenfreude)とは、他者の不幸、悲しみ、苦しみ、失敗を見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。ドイツ語で「欠損のある喜び」「恥知らずの喜び」の意味である。日本語で言う「様を見ろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義の「メシウマ((他人の不幸で)飯が美味い)」という俗語が近い物として挙げられる。
(出典:wikipedia)
ある実験では、被験者を精神的に追い詰めたときに他人の不幸を想像させた結果、脳内でプラスの出来事があったときに作用する部分が反応した研究結果もあるそうです。つまり、他人の不幸を想像したらストレスが軽減されたということです。
このようにストレスを感じたときに相手の不幸を想像してストレスを軽減させるのはごく自然なことだそうで、現在、注目されている研究分野のひとつにシャーデンフロイデがあるそうです。
しかし、「シャーデンフロイデが生じるのは過度のストレスが掛かったとき」とも言われていますから、私自身、ストレスが多いのでしょうね。
今日も平然と乗務しているようでその裏では天使と悪魔が戦っておりますが、果たして「天使一色」となる日は来るのでしょうか?