路線バス運転士になった元ウェディングプランナーの乗務日誌

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路線バス運転士こーくんのブログ

「11日間の連勤勤務」は基準内、こんなことを言っていたら事故はなくなりません。

7月14日に三重県の東名阪自動車道で発生した高速バスの追突事故についてみなさんはどう思いますか?

この件に関して…

「TDL帰りの高速バスの事故。運転士は11日連続勤務(基準内)だったとのことですが、法律や国交省が定める規定の上限は「人としての忍耐力の限界」のようなものです。実際、私も連続勤務をしたことがありますが、このような事故を起こさない自信はないですね。怖い話ですがこれがバス運転士の現実。」

と、昨日ツイートしたところ、今日までにリツイートが150件にも達し感心の高さを改めて感じました。

そこで今回は「高速バスの事情」について書いてみようと思います。

まず、高速バスと一口に言っても、長距離夜行バスからベッドタウンを結ぶ近距離高速バス、隣県の主要地域を結ぶ都市間高速バスなど種類は様々です。

その中でも一番キツイと言われているのが「夜行バス」で、昼夜逆転による生活リズムの乱れや、夜間走行における睡魔から離職する人も多いのだとか…

私自身は夜行バスの乗務経験はありませんが、深夜、愛知県から今回事故の起きた東名阪自動車道を経由して関西圏へトラックを走らせていた経験がありますので、このあたりの辛さは理解しているつもりです。

ただ、トラックは眠くなれば自己裁量で休憩を取ることができますし、ガムを噛んだり、コーヒーを飲んだり、ラジオをガンガン聞いたりと自分のペースで運転できますが、高速バスはダイヤが決められていることに加え、運んでいるのが人間と言うこともありハードな部分が多いそうです。

実際、高速夜行バスを経験した運転士の話を聞くと、愛知県から博多までの高速バスを運転している途中、「”博多まで500km”と言う案内看板を見て途方に暮れた」「どうしても眠く、サービスエリアに点検を装って停車させたことがある」と言っていましたね。

確かに、路線バスはドア操作やアナウンスなど覚醒する(目が覚める)要素が多いですが、夜間の高速バスは景色が無い高速道路を延々と運転していく単調乗務ですから睡魔に引き込まれる気持ちはよくわかります。

連続勤務と、翌日まで8時間しか休息が無い勤務

さて、今回の事故でクローズアップされているのが「11日間の連勤勤務」と言う点です。

関越道の事故から運転士の労働基準が厳しくなりましたが、そう言っても労使協定などによっては11日間の連勤勤務は可能ですし、16時間拘束も条件下で可能です。

正直、11日連続出勤自体は良いのですが問題は勤務時間です。一番キツイのが「翌日の勤務まで8時間しかない」状態での連勤です。

翌日の勤務まで8時間しかない勤務とは、例えば「朝5時~10時、休憩を挟んで15時~21時」と言う中休勤務(中憩勤務)も該当します。

ちなみにこの勤務が毎日続いたらどうですか?

夜自宅で過ごす時間はほとんどないですよね。

ここで多くの方が誤解しているのですが、中休時間は拘束時間に含まれません。つまり、朝5時~21時で16時間拘束ではなく、朝5時~10時で5時間拘束、15時~21時で6時間拘束、計11時間拘束が正解なんです。

なので、16時間拘束は例外的な扱いで連発することはできませんが、上記のように翌日の勤務まで8時間しかないローテーションは法令上問題ないというわけです。

私も11日連続勤務の経験や、翌日の勤務まで8時間しかない勤務のオンパレードを経験したことが多々ありますが、さすがに何が何だかわからなくなるような精神状態になり、気が付けば漫然運転となっていることもありましたね。

少々、話が高速バスから逸れてしまいましたが、今回「11日間の連勤勤務中の事故」と聞いたとき「やっぱり…」と思ったのが率直なところです。

法令で定められている基準はいわば「限界の限界」です。ここから運転士の勤務スケジュールにどれくらいゆとりを持たせるのかは事業者ごとの方針や状況によって全く異なります。

ただ、個人的には関越道の事故で設けられた基準は「青天井にストップがかかった」ようなイメージですので、もっと基準を厳しくしないと同じような悲劇は繰り返される予感がします。

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