26Nov
最近、運転に対するストレスが増加気味です。
運転士がストレスを感じることと言えば、車内に残されたゴミ・運行ダイヤの遅れなどに代表されるのですが、本業である運転に対してのストレスも結構多いんですね。
特に、私が乗務している路線は乗客のマナーは比較的良いほうなので他車の運転が気になって仕方ありません。
色々気になることはあるのですが最近一番気になるのは「路地からの飛出し」です。
以前も書いたのですが、こちらが本線を走行していても平然と一旦停止を無視して無理に突っ込んできます。
正直、こちらが進む方向と同じ方向に行ってくれる(左折する)なら「バスの後ろは遅くなるから、先に走りたい」と言う理由も理解できますが、理解しがたいのは右折してくる車です。
図解してみるとこんな感じです…
右折だとこちらに迫ってきますから、「何、考えとんじゃーーー!」と内心穏やかではありません。もちろん、クラクション&ハイビームで応酬(…ではなく”危険回避”)を行いますが、中にはルールを無視したことを棚に上げこちらをにらんでくる”勘違いした人”もいるわけです。
ちなみに、クラクションやハイビームなどで危険回避行為をしていないと事故が発生したときの過失に影響する判例*もありますので、このようなときは躊躇(ちゅうちょ)はしません。乗用車ならともかくこちらは人が乗っているバスですから何かあったとき大変ですからね。
路肩走行の自転車が右へ急な進路変更をする危険を予測せずに、乗用車が追い抜こうとして自転車と衝突し、重傷事故が発生した事故事例があります。
この事故の民事訴訟では、過失割合認定の際に裁判官が「追越しの際に安全な距離をとるとともに、警笛などで注意喚起をして安全を確保してから追越すべきだったのにこれを怠った過失がある」として、運転者の過失割合を7割とする理由の一つに「クラクションの不使用」を挙げています。
(出典:シンク出版株式会社)
このようにクラクションを使用しなかったことを指摘された事例(参考書籍:交通事故における過失割合・実務裁判例)が数多くあります。
ただ、事業者の多くはクラクション使用によるクレームを恐れるあまり、運転士にクラクションの利用を控える通達を出しているところもあるそうです。個人的にはバス停に止まっている車に対して使うのは本来ではないにしても、その他の運転中にクラクションを使うのは危険と考えたときですから、その点はしっかり理解してほしいものです。
特に、乗用車を運転しているときの危険と感じるラインと、バスを運転しているときのラインは全然異なります。
例えば、乗用車なら少し強いブレーキで回避できる無理な割り込みや飛出しでも、バスの少し強いブレーキとなると座っている人は前のシートに額をぶつけ、立っている人は転倒や足をひねるなどケガをする可能性が高まります。
そんな背景もあるので、乗用車を運転しているときよりバスを運転しているときのほうが気を使います。
もちろん、運転士である以上、それらも想定して割り切って心穏やかに運転することも大切なのですが、私も所詮”人”ですのでやはり感情に流されてしまうこともわけです。