6Aug
ここ数日、JR西日本の運転士が熱中症とみられる症状で搬送されたことがクローズアップされていますね。
簡単にまとめると…
8月5日 和歌山線普通(31歳運転士)
8月4日 特急「くろしお」(29歳運転士)
7月25日 東海道線新快速(28歳運転士、35歳車掌)
と、今シーズンだけで4名の方が熱中症とみられる症状で搬送されています。
特に7月25日の熱中症では、「乗務中の水分補給は報告書が必要」との高いハードルを課している社内ルールが波紋を呼びました。結局、「報告なしで水分補給可」へと社内ルールが変わったものの、その後の株主総会では乗務員の健康面を心配する声が株主から多数寄せられたそうです。
まぁ、色々な事情が企業にはあるでしょうが、メディアの情報だけで考えると「事業者の熱中症に対する危機管理の甘さ」を感じますね。これは運転士に非があると言う意味ではなく、運転士が熱中症にならない対策を“会社が”講じておく必要があったと言う意味です。
恐らく、現場では熱中症の問題は叫ばれていたと思いますから、大企業特有の「現場と会社との溝」みたいなものを感じます。
例えるなら「事件は会議室で起きているんじゃない! 現場で起きているんだ!」と言うアノ映画のような事情でしょうか…(苦笑)
さて、7月に発生した熱中症では「水分補給」にクローズアップされましたが、今回の熱中症では「運転室の温度」にクローズアップしたメディアもありました。
と言うのも、特急「くろしお」で使用されていた車両は先頭が大型のワイドガラス(展望仕様)になっているため、運転室が高温だった可能性があったからです。
正直、素人の私から見ても「これで外が36℃だったら、暑いでしょう」と思いますね。余談ですが、同じようなワイドガラスを使っている近鉄のアーバンライナーで運転席に扇風機が置いてあるのを見たことがありますので、やっぱりワイドガラスは暑いのでしょう。
ちなみに、路線バスのエアコンは同じ設定温度でも座席で温度が異なります!でも書いたのですが、路線バスの運転席も大型のフロントガラスから入る日光や運賃箱などの機器関係からの放射熱の影響もあって結構暑いです。
しかも、冷房は客席のセンサーで風量が調整されますので、「客席が28℃で適温の時、運転席は32℃!」と言うことはザラにあるのです。おまけに運転席は先端なので風量も弱く温度もぬるめなのです。(車種によりますけどね)
JR西日本は「冷房は稼働していた」との説明にとどめており、肝心の運転室の温度には触れられていません。しかし、路線バスですら運転席は30℃を超えるわけなので、壁で客席と仕切られている電車の場合、運転室内も30℃は軽く超えていたのではないかと思います。
熱中症に対し、厚生労働省労働局では「WBGT値」と言う温度に関する指標から注意を促しているのですが、鉄道や路線バス運転士などの作業に従事する人は29-30℃以下の環境でないと熱中症の危険が伴うそうです。
一連の騒動から、熱中症については水分補給が一番叫ばれているので意識は高くなりましたが、実際に仕事している現場環境(運転席)が盲点になっているような気がしてならないのが本音です。
まだ、路線バス運転士は電車の運転士より水分補給など融通が効く面が多いように思いますが、帽子を着用して、手袋を付けているだけでも熱中症を呼び込んでいると言えますので、この時期はお互いハードな仕事と言えます。
まだまだ暑い日が続きますのでみなさんもご注意を…!